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2013年10月24日 (木)

一汁三菜

Img_0638今月は二か所の会場での個展。三日の「土鍋ごはんのランチ会」。炊飯器を持たない我が家のごはんの炊き方ではありましたが…各日とも、ほんとうに多くの方々にお運びいただき、心より御礼申し上げます。

期を同じくして「一汁三菜」…日本の和食文化が世界文化遺産へ登録される見込みとなりました。喜ばしい反面、「一汁三菜」の食卓…

そうか・・遺産になるほどの時代になったImg_0639んだ…とも思ったり。不思議な感覚にもなりました。

「一汁三菜」…30年位前だったら、「え~っ、また今日もこの御飯~」と言っては母上に、どつかれていたことを思い出します。おそらく、日々あたりまえのように、そういう食卓で育っていたから、大人になって、その意味、大切さが解ってきたようにも思います。30年位前と言えば…そう、世はバブル真っ只中。次々と新しいものに飛びつき、乱舞していた時代。学生の僕は、大手広告代理店OBの教授達と、「これからのメディアは?」「成熟化社会のコミュニケーション戦略とは…」などと嘯いていたころでもありました。もちろんインターネットも登場していない頃だったので、これからのメディアは、テレビか、新聞か、雑誌か、ラジオか?等で口論していたころでもありました。商売人の家系に育った僕は、自然とスペース(空間)=メディアという選択をしたように記憶しています。

バブルが終わり、世はローコストの時代へと移り、早20年以上…。手間は不要。効率重視。手間は第三国へ。効率=エコ。言葉ですらも一言二言で済まそうとする空気。僕は、時代の風潮や、思想は、一方向に進みすぎれば、自然に振り子のように振り戻されると思っています。それはたぶん、その時代を生きている人たちは、同世代だけではないから…。美味しい和食の料理屋さんは、野菜の炊き合わせをつくるときに、それぞれの野菜をそれぞれの出汁で別々に炊きます。でもそれは、うちの婆ちゃんはあたりまえのようにやっていたことでもありました。ひとつひとつの素材にそれぞれに付き合う…おそらく日本の和食文化というものは、手間の文化でもあるように思います。

日本でいう「店」という単語は、「見せる」を語源としているようです。アメリカなどからウインドディスプレイ等が入る前の時代、日本の○○屋さんはすべてつくっている場所が、表から見えるようになっていたのです。商品を店頭に並べ、つくっている場所は隠す。今の時代の店舗とは真逆。手間をかけている場面を、あたりまえのように見せる。つくる側は手は抜けない、偽装も出来ない。見る人は、それに納得した対価を支払っていたのかもしれません。僕よりも先輩の日本人は、そういう店を記憶しています。僕らもかろうじて伝えられてきました。その手間暇の良さを知っている世代が、もう20年以上知らない世代と共存している…。世界文化遺産に登録されることは喜ばしいことです。でも、忘れてはならないのは、世界に発信するだけでなく、まず今、日本で共存している知らない世代に伝えていくことが大切なんだと思います。ふと、そんなことを米を炊きながら想う、今日この頃。

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コメント

コメントありがとうございます。
「手」と「心」は繋がっているから、人の手でつくられたものには、「想い」を感じることが出来るのかもしれませんね。感じることが出来る人も多くいると思います。

投稿: 堀川貴永 | 2013年10月25日 (金) 13時08分

「始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな」・・若者達は何の御まじないか分るでしょうか?(^-^;

自分が手間暇をかけて、スローライフをきちんと実践しているかと問われたら、自信ないです

ただ、時代が変わり、風潮や思想、科学技術や流行が変わっても、本当に大切なもの、本当に求めているものってあまり変わらないのではないかと感じます

秋桜や雀が30年前と変わらないのと同じに、「人間」という生物が風潮や科学と共に変わって行くわけではないのだから。。。

一方向に進みすぎた時、人間が戻りたくなる場所って、"自然物"としての人間が求める処なんじゃないかなぁ。。


ご飯が炊ける匂い、お鍋が煮え立つ音、霜が溶けた土の香り、風や雨の音。。かほりや音って、広義にはメディアだな..っていつも思います


「手間暇かける」「手当てする」「手話」「手仕事」「手をつなぐ」。。文字には表されてないのに、「手」がつく言葉に「想い」を感じるのは、私だけ。。?

               clover


投稿: Yomi | 2013年10月24日 (木) 23時12分

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